中国では小中学校からAI人材を育成する?

今日、中国のWebサイトで、こういった記事を見かけました。

国务院:中小学应设置人工智能课程,推广编程教育_教育_腾讯网


人工智能(rén gōng zhì néng)は人工知能つまりAIのことです。最近、色々と話題になっていますね。深度学习(shēn dù xué xí)=ディープラーニングなどの機械学習の技術が発達したことで、人間に匹敵する画像や音声の認識が可能になり、注目を集めています。この先、自動運転などの技術が開発されれば、運転手などの職業が機械に取って代わり、大きな社会的影響があると考えられます。

国务院(guó wù yuàn)とは中国の行政機関、日本で言うところの内閣、つまり霞ヶ関にある省庁の集まりみたいなものらしいです。
中華人民共和国国務院 - Wikipedia

その国务院が発表したところによると、小中学校で人工知能に関する課程を段階的に増やしていくとのことです。また、高校教育ではさらに、数学、物理、生物、計算幾何学、心理学、社会科学など、人工知能の知識にプラスアルファされるような複合的課程を増やして、高度なAI人材を育成するとのこと。

交互式学习(jiāo hù shì xué xí)=コンピュータを使ったインタラクティブな教育の平台(píng tái)=プラットフォームも作るようです。

中国はかなり人工知能技術を高めることに本気みたいですね。国が主導になってトップダウンで戦略的に教育を改革しています。日本やカナダでも人工知能は世界を変えると騒がれていますが、さすがに小中学校の教育を変えるという話は聞きません。小中学校では、せいぜい2次方程式の解法レベルの数学しか教えることはできないと思うので、どのぐらい踏み込んで人工知能の技術を教えられるかは疑問ですが、小さい頃から計算機に馴染んでおくことは大切だと思います。

日本の小中高の理数系の試験問題というと、かなりの確率で単純な算数(筆算とか)をミスなく正確に行うことが要求されます。特に化学や物理の試験は、モル数の計算とかかなりヘビーな筆算が登場したと思います。しかしながら、今の生活は、スマホやラップトップなどの計算機が身近にあることが当たり前なので、計算機ができるような単純な計算を、人間が正確に行う技術よりも、そういった単純な問題を計算機に解かせるためのプログラム能力のほうが必要になることは間違いありません。小中からAI教育というのは早すぎる気がしますが、退屈な手計算はできるだけ計算機にさせて、問題の本質に集中して教えるということなら、僕は間違っていないと思います。

しかしながら、人工知能の技術というのは、計算幾何学の中でも応用に近い分野で、実際の問題に応用しようとすると、かなりその分野に詳しくないといけません。やはり、人工知能だけを教えるのではなくて、それとは別の専門分野も(人工知能に負けないぐらい)教育しなければなりませんね。

こういった人工知能の開発に重要なのは、どれだけ大量で質の高いデータが集められるかです。金盾工程(jīn dùn gōng chéng)といって、中国ではインターネットが国によって管理されていますので、データを国が主導して集めようと思えば、簡単に集められるでしょう。また 支付宝(zhī fù bǎo)などの電子マネーや、WeChatなどのSNSが発達して、なんでもオンライン化されているので、データも集まりやすいですね。

また、AIの分野ではAndrew Ngなど、华裔美国人(huá yì měi guó rén)=中国系アメリカ人の研究者が活躍しています。

AIの今後は中国が握っているのかもしれませんね。

www.theverge.com